思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍紹介】総合診療2019年2月号&3月号―もやもや処方箋最終回は”イソップの向こう側”!?

 気付けばもう3月半ば……。季節の変化が身近に感じられる今日この頃ですが、なかなか思うように時間が取れなく、デスクの上に積読状態となっていた『総合診療』誌にようやく目を通すことができました。

 2月号のメインテーマは『特集 意外な中毒、思わぬ依存、知っておきたい副作用 一般外来で! OTCも処方薬も!』です。薬物依存というと違法薬物やベンゾジアゼピンなどを思い浮かべがちですが、薬物乱用頭痛やブロン中毒などに代表されるように、僕たち薬剤師にとって身近なOTC医薬品でも起こり得ます。本誌では代表的なOTC医薬品の中毒事例なども紹介されており、とても参考になりました。

総合診療 2019年 2月号 特集 意外な中毒、思わぬ依存、知っておきたい副作用 一般外来で! OTCも処方薬も!

 そして連載中の「もやもや処方箋」。このカンファでも、意思決定・行動の「時間・環境依存」というとても示唆に富むキーワードが出てきました。そして「関心の度合い」に応じたプラクティスという流の中で、僕は環境相関性」という考え方を提示しています。ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

 3月号は『特集 あなたのギモンに答えます! 循環器診療のハードルを下げるQ&A31 』がメインテーマとなっています。循環器領域は突き詰めると専門性が非常に高くなり、細部の理解が追い付かないこともしばしばですが、本特集でしっかり勉強したいと思います。

総合診療 2019年 3月号 特集 あなたのギモンに答えます! 循環器診療のハードルを下げるQ&A31

 そして、「もやもや処方箋」、なんと今回で最終回でした。最終カンファでは”イソップの向こう側”というパワーワードが登場しますっ。僕はゲーミフィケーションという概念の紹介をしながら、受療行動の変容の可能性について言及してみました。そしてやはりキーとなるのは行動経済学でいうところのnuge(ナッジ)でしょうか。価値を超えた行動を目指して――イソップの向こう側が垣間見えた貴重なカンファとなりました。

 「もやもや処方箋」1年間にわたる連載の中で、計8回のカンファに参加させていただきました。このカンファレンスに参加できたことに、改めて感謝を申し上げます。大変学び大き機会をありがとうございました。