思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍紹介】医療職のための症状聞き方ガイド “すぐに対応すべき患者”の見極め方

近年、薬剤師教育においても、臨床推論が注目を集めるようになり、身体所見からどのような疾患が疑われるのか、その確からしさを定量的に評価していく考え方が身近になりつつあります。とはいえ、医師以外の医療職や介護スタッフが、患者さんから身体症状を…

【書籍紹介】逸脱症例から学ぶ がん薬物療法:月刊薬事2019年7月増刊号

近年、がんの薬物療法は臓器別に高度に専門化され、エビデンスの更新も目まぐるしい分野です。一口にがんといっても、がんが発生している臓器によって、全身状態に影響しうる病態生理は大きく異なり、薬物療法も多様化しています。複雑な病態生理を十分に踏…

『正しさ』をめぐる問題―真理の探究はいかにして可能か?

経験に基づく(偶然的な)知識から、必然的・確実な知識(理論体系)を得るためにはどうすれば良いのだろうか。デカルト以来、近代哲学の大きな関心は認識論へとシフトしていく。 絶対確実な真理の探究において、カントは分析的(アプリオリ)な言明と、綜合…

薬剤師による処方提案、その問題点と円滑な実践のためにー日本在宅薬学会を振り返る

2019年7月14日から15日の2日間にわたり、一般社団法人日本在宅薬学会の第12回学術大会が名古屋で開催されました。 congress.jahcp.org 僕はNPO法人アヘッドマップの仲間たちと一緒に、ワークショップ1『楽しく実践!処方提案!~ポリファーマシーを例に~』…

疫学的研究デザインと統計解析手法を学ぶ

2019年5月、京都にて開催された日本プライマリ・ケア連合学会第10回学術大会。この学術大会で僕たちが発表した『頭髪の抜け毛は春に少なく夏から秋にかけて増えるかもしれない』という研究ついて、立案からどのような手順で解析を進めたのか、ファーマトリビ…

GLP-1受容体作動薬と糖尿病性網膜症リスクの関連

心血管イベントリスクに対してポジティブな報告が続くGLP-1受容体作動薬ですが、セマグルチドの大規模臨床試験 SUSTAIN-6で示された網膜症リスク増加は、少なからず衝撃的でした。同研究において、硝子体出血、失明、硝子体内注射または光凝固治療を要する…

糖尿病治療アップデートにおすすめ書籍と、GLP-1受容体作動薬の有効性の要約について

【糖尿病治療アップデートにおすすめ書籍】 DPP4阻害薬をはじめ、SGLT-2阻害薬やGLP-1受容体作動薬など、いわゆる新規2型糖尿病治療薬の大規模臨床試験の結果が、相次いで報告されています。この分野は情報の更新が目まぐるしいく、またその量も膨大なため、…

【書籍紹介】不道徳的倫理学講義: 人生にとって運とは何か

我々がこの世界で何をなし、何を受け取るかは、「運」というものに大きく左右されている。しかし、あるべき行為や人生をめぐって議論が交わされるとき、なぜかこの「運」という要素は無視されがちだ。 特にその傾向は、道徳や倫理について学問的な探究を行う…

ランダム化比較試験の外的妥当性と、結果に示される効果の大きさは相関する?

薬事日報さんの薬学生新聞で連載させていただいてるコラム「これから薬の話をしよう」、今回はランダム化比較試験の外的妥当性についての話です。 ynps.yakuji.co.jp 臨床研究における外的妥当性とは、示された結果が広く一般化できるかどうかに関する度合い…

【書籍】 Rp.+ レシピプラス 2019年夏号 Vol.18 No.3- 心不全治療のパラダイムとTOPCAT試験

南山堂さんの『Rp.+ レシピプラス』2019年夏号の特集は心不全です。 レシピプラス Vol.18 No.3 みてわかる!循環器のキホン 心不全のくすり: 慢性心不全の薬学管理と生活サポート 循環器疾患の終末像たる心不全は、高齢化が進む日本の臨床において、避けては…

禁煙する(させる)とはどういうことか

喫煙者が禁煙に対してどの程度関心を持つものなのだろうか。例えば製造業労働者815人を対象とした横断調査【1】によれば、喫煙率は44.3%であり、喫煙者の48.5%が禁煙無関心者であったと報告されている。同研究ではまた、無関心に関連する因子として、健康…

ポリファーマシーをめぐる信念対立とその解消アプローチ

第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会、5月18日の教育講演の振り返りを続けていきます。 confit.atlas.jp ・名郷直樹先生:ポリファーマシーと言われる中で起きていること:構造主義医療の視点から・尾藤誠司先生:なぜ薬が増えていくのか」に関する…

人類学的・行動経済学的に考えるポリファーマシー

第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会、5月18日の教育講演の振り返りを続けていきます。 confit.atlas.jp ・名郷直樹先生:ポリファーマシーと言われる中で起きていること:構造主義医療の視点から・尾藤誠司先生:なぜ薬が増えていくのか」に関する…

構造主義医療で語るポリファーマシー

第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会、5月18日の教育講演は、とても心に残るセッションとなりました。本セッションは栃木医療センターの矢吹拓先生とご一緒させていただき、今回は座長という立場で、ぼくたちが是非お話を伺ってみたいと思う3名の先…

薬の効果、その視点を変えて眺めてみる―表現としての薬剤効果

「高血圧治療ガイドライン2019」において、降圧目標として推奨されている血圧値は130/80mmHgでした。この推奨は、ランダム化比較試験19件のシステマティック・レビュー&メタ分析に基づいています。詳細は以下のエントリにまとめてあります。 syuichiao.hate…

【書籍】いつもそばには本があった。

『いつもそばに本があることは、人間が人間らしく生きるために必要な条件だという認識は今も失われていない』p114 國分功一郎さんと、互盛央さんによる、対談とも往復書簡とも異なるエッセイ集、『いつもそばには本があった。』を読んだ。 いつもそばには本…

【お知らせ】『みんなで考えるポリファーマシー』の動画コンテンツが公開されています

2016年12月18日に開催した薬学ゼミナール生涯学習センター主催の薬剤師生涯学習講座「みんなで考えるポリファーマシー」をもとにした動画コンテンツがm3.comで閲覧できます! pharmacist.m3.com 有料コンテンツですが、m3会員では特別優待があるようです。詳…

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」について②-糖尿病合併高血圧

日本高血圧学会より発行された「高血圧治療ガイドライン2019」をもう少し読み進めてみる。ちなみに本ガイドライン巻末の引用文献リストには、PMIDが併記されているため、原著論文を参照したい時にはかなり利便性が高い。 《日本高血圧学会高血圧治療ガイドラ…

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」について

「高血圧治療ガイドライン2019」が日本高血圧学会より発行された(制作・販売はライフサイエンス出版)。5年ぶりとなる本改訂では、高血圧の疫学から具体的な治療推奨まで、全14章17個のCQで構成され、引用された論文総数は1700文献である。 《日本高血圧学…

【書籍紹介】ゆるく考える ―ラジカルにゆるく

東浩紀さんのエッセイ集「ゆるく考える」を読んだ。 《Amazon》 ゆるく考える 《楽天ブックス》 ゆるく考える [ 東 浩紀 ] 感想(0件) 『友と敵の境界をクリアに引かず、「ゆるく」考えることは、最近のぼくにとって大きな課題になっている(ゆるく考えるp326…

【書籍】時間と自由意志 -自由は存在するか、存在するとすれば、自由とは何か?-

青山拓央さんの『時間と自由意志』を再読した。自由について、これほどまでに体系的に論じられた文献は、日本語ではまだまだ少ないように思う。 《Amazon》 時間と自由意志:自由は存在するか (単行本) 《楽天ブックス》 時間と自由意志 自由は存在するか (…

【書評】ブラック・ドッグ

ブラック・ドッグ 葉真中 顕 (著) 講談社 (2016/6/15) ブラック・ドッグ (講談社文庫) 差別はいけないことだ。それは現代人にとって常識的な価値観であるが「差別」と「区別」との境界線はあまり明確ではないように思う。僕たちは人種差別はいけないことだと…

花粉症のOTC医薬品:考え方・選び方と、おススメOTC

ファーマトリビューンさんで連載中のコラム『【論文から学ぶ】薬剤師のためのOTC医薬品』、先月と今月にかけて花粉症に対するOTC医薬品の考え方・選び方について解説しています。薬剤師のみならず、登録販売者の方、あるいは広く一般の方にもご参考になれば…

交絡を考えるとはどういうことか~疫学を学びたい人におススメの書籍3冊

地域医療ジャーナル 2019年04月号 vol.5(4) 『次なる世界へ』が発刊されております! cmj.publishers.fm 僕は睡眠時間と健康関連問題について『僕らは一体、どれくらい眠れば健康的に過ごすことができるのか?』という論考を投稿させていただきました。 cmj.…

【書籍紹介】薬トレ 薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック

南山堂さんの薬局増刊号、今年は毎年恒例「病気とくすり」ではなく「薬トレ 薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック」です! 薬局 2019年3月増刊号 特集 「 薬トレ ―薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック― 」 [雑誌] 本書は日常業務で遭遇頻度の…

【書籍】レシピプラス2019年春号 (Vol.18 No.2)

南山堂さんのレシピプラス、2019年春号の特集テーマは『今どきの抗うつ薬処方: ここでも使える!!― SSRI,SNRI,NaSSA』です。抗うつ薬20年史から作用メカニズム、さらには新規抗うつ薬の特徴などを丁寧にまとめた1冊となっております。 レシピプラス Vol.18 No…

【書評】現象を救うのは科学か物語か?-『彼女がエスパーだったころ』

宮内悠介さんの『彼女がエスパーだったころ (講談社文庫)』を読んだ。僕が読んだ宮内さんの小説は『ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)』に続いて2冊目となる。 彼女がエスパーだったころ (講談社文庫) 表題作『彼女がエスパーだったころ』を含む6編…

【書籍紹介】総合診療2019年2月号&3月号―もやもや処方箋最終回は”イソップの向こう側”!?

気付けばもう3月半ば……。季節の変化が身近に感じられる今日この頃ですが、なかなか思うように時間が取れなく、デスクの上に積読状態となっていた『総合診療』誌にようやく目を通すことができました。 2月号のメインテーマは『特集 意外な中毒、思わぬ依存、…

FREED試験について思うこと。

米国食品医薬品局(FDA)による、フェブキソスタットの安全性情報に関する記載アップデート(19年2月21日)はツイッターでも話題になりましたね。『フェブキソスタットの死亡リスクはアロプリノールを上回ると結論』という文言は、なかなかにインパクトのあ…

【書評を書きました!】月刊薬事2019年3月号

じほうさんの月刊薬事、3月号は薬物相互作用の特集が組まれています。日常業務で遭遇する頻度の高い薬物間相互作用について丁寧な解説がなされており、これを機会に僕もしっかり勉強したいとおもいます。 月刊薬事 2019年 03 月号 [雑誌](特集:モニタリング…