〔論文〕薬剤効果の構成的実在論
”思想的、疫学的、医療について”いつかは論文化したいと思っていました。
今回、薬学領域における哲学的論考として「薬剤効果の構成的実在論」を”地域医療ジャーナル”に原著論文として投稿しました。
現在、初稿が掲載されていますが、パブリックレビュー中です。是非是非、ご意見いただけたら嬉しいです。
パブリックレビュー 公開期限:2016/8/23
CMJ2016001 投稿:2016/7/15、受理:2016/7/20、初稿:2016/7/24
[抄録]
薬剤効果の記述をめぐり、薬理学的作用機序に基づく合理主義的な考え方と、臨床疫学的知見に基づく経験主義的な考え方が存在するが、そのいずれを重視すべきかしばしば対立を起こしている。薬剤効果の認識は経験的に理論とは独立に把握できる。しかし、あらゆる薬剤効果を僕らは経験することはできない。不測の事実に対処するために理論は有効な場合もあり得る。本稿ではこうした薬剤効果の記述をめぐる対立の根源的な構造を明らかにするために、薬剤効果の構成的実在論という立場を提唱する。構成的実在論は薬剤の効果という客観的実在を認めたうえで、我々が記述しうる薬剤効果は常に訂正可能性を持つということを浮き彫りにさせる。