思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍】総合診療 2019年10月号 教えて! 医師のためのビジネス・スキル

 医学書院さんの『総合診療』、先月号(10月号)ですが、特集テーマは「ビジネス・スキル」。企画は藤沼康樹先生です。医療者としての専門スキルを学ぶ機会はあれど、コミュニケーション、倫理的判断、自分自身のモチベーション、プレゼンテーション、ライティングなど、専門スキル以外のGeneric Skillを体系的に学ぶ機会は少ないように思います。

総合診療 2019年 10月号 特集 教えて! 医師のためのビジネス・スキル

 目次一覧は医学書院さんのウェブサイトで閲覧できます。

www.igaku-shoin.co.jp

 薬剤師として働く中で、”このままで良いのだろうか”と、漠然とした不安を覚える少なくないように思います。僕自身もそうでしたが、では具体的にどんなスキルを身に着けたらよいのか、途方に暮れることもあるでしょう。この道一筋では創造的な仕事はできない時代です。本特集は医師向けですが、薬剤師にとっても参考になることは多いように思います。以下は、尾藤誠司先生の総論から引用です。

『専門技術サービスの醍醐味は、自分たちが持っている専門的知識や技能が、まず「人それぞれ」を排除し、「誰にも共通する1つの解」の存在を信じながらも、あえて今自分が立っている現場においては「人それぞれ」として考え、最適解からズレた「落としどころ」を探っていくことなのだと私は考えている』

  とてもリアルだなぁと感じています。多様性に配慮するとは、「人それぞれではない」というステップを踏まえているという前提がある。エビデンスを踏まえるとはそういうことなのだと思います。そのうえで、人それぞれを考え、誰もが共通する一つの解ギャップをどこまで許容し、どこまで受け入れるのかという思索の連続なのだと思います。

 専門家とはある意味で表現者ではないか、そんなふうに思います。情報を知識へ、そして知識を情報へ。情報化と知識化を相互に繰り返すことは表現であり、表現を通じて創造的なコンテンツや概念が生み出されていきます。その繰り返しのプロセスで、どんなところに関心を向け、どのような関心を見落としていたのか省察すること、ライティング、プレゼンテーション、倫理的諸問題へのアプローチなどなど、様々なGeneric Skillが必要になってくるのだと思います。