[出版のお知らせ]エビデンスを探して読んで行動するために必要なこと
薬剤師が臨床医学に関する論文を読むという事、それは、これまで抱いていた薬物治療の世界観を大きく変えます。ものの見方、考え方に多様性が満ち満ちてくる。少なくとも僕にとってはそうでした。学生時代、いや薬剤師となってからも、理論(theory)を多く学べど、現象(phenomenon)を知る機会は限られていました。
臨床で何が起こっているのか、何が起こり得るのか、そういった視点を付け加える臨床医学論文は必ずや薬剤師の臨床判断に役立つでしょう。
『薬剤師のための医学論文活用ガイド 〜エビデンスを探して読んで行動するために必要なこと〜』という本が出版される予定です。
本書は薬剤師のジャーナルクラブメンバーによる薬剤師のための臨床医学論文活用ガイドです。これまでわが国では薬剤師のための論文の読み方、活用法を体系的にまとめたテキストはそれほど多くはありませんでした。
本書では、まず理論的視点に加えて、現象を知るための思考プロセスである基本的な疫学について、そして論文を読むために最低限必要な統計的知識について整理します。そのうえで、どんな情報をどのように参照すればよいのか、また実際の論文を前に、どう読みこなせばよいのか詳細に解説していきます。さらに、論文結果をどう現場で活用すればよいか、様々な視点で具体的に記述しました。
そして、これまでの薬剤師のジャーナルクラブ配信で得られたノウハウを整理し、論文抄読会を具体的にどう作るか、また論文を活用した学びのスタイルまで、薬剤師が学び、考え、行動する、そのすべてにおいて役立つ実践的な内容を盛り込んだつもりです。薬剤師のジャーナルクラブ視聴者の方々に励まされながら、継続して取り組みを続けていく中で誕生した、まさに薬剤師のための実践書です。
本書の企画は2014年末、薬剤師のジャーナルクラブ共同主宰者である山本雅洋先生とのTwitterのやり取りから発展しました。お声を書けていただのは中外医学社さん。すぐに企画案の作成、原稿執筆にとりかかり、編集会議、校正作業を経て、出版までこぎつけることができました。
共著者である桑原秀徳先生、山本雅洋先生には企画案、原稿、校正作業にあたり、数々の貴重なご意見を頂きました。そして本書出版にあたり、企画案を快く受け入れてくださった中外医学社企画部、編集部の皆様、また関係者の方々にあらためて感謝申し上げます。貴重な機会を誠にありがとうございました。