【書籍】『患者さん中心でいこう、ポリファーマシー対策 -意志決定の共有と価値観に基づく医療の実践-』
近年、ポリファーマシー関連の書籍が複数出版され、やや飽和状態なのかな、という印象もあったりします。そんななか、新たにポリファーマシーに関する書籍が出版されます。
日常臨床を一歩進める!
患者さん中心でいこう、ポリファーマシー対策
意志決定の共有と価値観に基づく医療の実践
本書は愛知医科大学の宮田靖志先生、国立病院機構栃木医療センターの矢吹拓先生が中心になって編集されたポリファーマシーとそれを取り巻く問題群へのアプローチ方法をまとめた書籍です。
妥当な薬物療法を提供するためにはエビデンス、つまり科学的根拠の活用が必須と言えますけど、本書では患者さんの価値に重点を置いた考え方も紹介されています。サブタイトル「意志決定の共有と価値観に基づく医療の実践」にあるように、”Values Based Practice”なテイストを盛り込んでいるところも本書の魅力です。
これまでポリファーマシーはなんとなく「多剤併用=悪」と捉えられることの多かった問題だけに、新たな視点を提供してくれる1冊となるでしょう。
ちなみに僕は「サプリメント」と「頻尿治療薬」に関する項目を執筆させていただきました。ポリファーマシー関連の論考や書籍ではあまり扱うことのないサプリメント。このテーマをいただいたとき、正直どんな原稿を書いて良いのか悩みました。そもそも、サプリメントをいくつか摂取することが、とりわけ問題になるようなことだとは思いませんでしたし、ある意味では摂取したい人の価値観の問題ではないか……と。
とはいえ、サプリメントに対して過剰な反応を擁護する一部のメディアや、明らかに科学的、医学的妥当性とは異なる信念が存在することもまた事実です。
「サプリメント」という言葉に抱くイメージはなんだろうか。そんなところに考えをめぐらせながら、いくつかのエビデンス踏まえ、サプリメントを大量摂取しなければならないと言う”価値”にどうアプローチすればよいのか、一つの道筋は示せたように思っています。
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薬剤関連問題をめぐり多剤併用、いわゆるポリファーマシーも、重要なテーマと言えますが、服用する薬剤数のみならず、投与経路や服用タイミング、服薬頻度など、薬剤投与レジメンの複雑さもアドヒアランス低下につながったり、思わぬ有害事象につながる懸念があります。