思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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[書籍]はざまの哲学

 野家啓一先生、四半世紀にわたる哲学的探究の軌跡。貴重な論文集です。科学と哲学のはざま、現象学分析哲学のはざま、安全と安心のはざま。これらの『あいだ』を紡ぐのが、あるいは ”はざま" の哲学そのものの思索なのかもしれません。

はざまの哲学

『科学が新たな「発見」を目指す未知の探求であり、水平方向に知を拡張する活動であるのに対し、哲学は自明性の「再発見」を目指す既知の探求であり、垂直方向に知を深化させる活動である』(はざまの哲学 P22)

 

『真/偽は証明という具体的操作を通じて構成されるのである。その意味で、古典論理が世界を「神の眼」から俯瞰した絶対者の論理であるとすれば、直観論理は証明手続きの構成という人間的行為に即した有限者の論理と言うことができよう』(はざまの哲学p68)

 

『科学が現代社会において尊敬を集めているのは、それが真理と一致しているからではなく、逆に「連帯」の模範的形態であるからなのである』(はざまの哲学 p216)

 

『情報の意味や価値は、それ自体で存立するものではなく、一定の目的連関のなかで生ずる』(はざまの哲学 p247)

 

『情報の作用力とは信念体系の中に差異や区別を持ち込む働きにほかならず、それによって信念体系は新たな信念を形成するとともに既存の信念を変更するという形で分節され、さらには再編成されるのである』(はざまの哲学 p256)