思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍紹介】薬トレ 薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック

 南山堂さんの薬局増刊号、今年は毎年恒例「病気とくすり」ではなく「薬トレ 薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック」です!

薬局 2019年3月増刊号 特集 「 薬トレ ―薬剤師の臨床センスを磨くトレーニングブック― 」 [雑誌]

 本書は日常業務で遭遇頻度の高い8疾患及5領域の13章構成。緩和、腎機能、小児、妊娠・授乳などの専門分野に加え、近年関心の高まっている高齢者薬物療法については、独立した章立てになっており、ポリファーマシーに関連したテーマも盛り込まれています。

  そして、その特徴は何と言っても、「症例」「設問」、そして設問に対する詳細な「解説」という、まさにトレーニングブックの名にふさわしいレイアウトになっていること。実に260症例、674問で構成されています。

  日常業務において、疑問に思ったことを、「疑問」として取り出せる能力は大切です。それは「問いを立てる力」と言っても良いかもしれません。慣例やその場の状況に流されるのではなく、一度前提を疑ってみることで、今まで意識していなかった新しい視野を獲得できることも多いでしょう。

 とはいえ、どのように問いを立てればよいか、なんとなくイメージがわかない……そんな人も少なくないはずです。本書に掲載された臨床症例と、それに対する設問は、そんな問いの立て方の良質なガイドになってくれることでしょう。

  背景知識として、どのようなことを知っていなければいけないのか。実際の臨床では、どのようなことが問われる可能性があるのか。本書を通じて、そのような基本的な“学びの仕方”を学ぶことができる思います。本年度、薬剤師国家試験に合格し、春より臨床の現場に立つ薬剤師の方にも、是非おすすめしたい一冊です。

 ――と、偉そうなことを言っておりますが、僕自身も本書を精読しながらじっくり勉強したいと思います(汗