【書籍紹介】医療職のための症状聞き方ガイド “すぐに対応すべき患者”の見極め方
近年、薬剤師教育においても、臨床推論が注目を集めるようになり、身体所見からどのような疾患が疑われるのか、その確からしさを定量的に評価していく考え方が身近になりつつあります。とはいえ、医師以外の医療職や介護スタッフが、患者さんから身体症状を相談された時、どのように返答して良いか迷うことは多々あると思います。
病気を診断するのではなく、その前の段階として、「医師の診察を受けるべきかどうかを判断する」ことは、身近な健康問題と関わりの深い医療・介護職にとって重要なスキルです。ドラックストアで薬を販売する場合においても、OTC医薬品で対応可能な状況なのかを判断することなしに医薬品販売業務は行えませんよね。
診断学と言えば、『マクギーのフィジカル診断学』があまりにも有名ですが、これは医師向けの教科書であり、その内容も高度に専門的です。近年では身体診察や臨床推論に関する良書が相次いで刊行されていますが、やはり医師や薬剤師を対象にした書籍が多く、介護スタッフ、あるいはドラックストアの登録販売者向けのテキストは限定的でした。
そんな中、全ての医療職・介護職を対象にした身体症状アセスメントに関する書籍が医学書院から刊行されています。
《医療職のための症状聞き方ガイド “すぐに対応すべき患者”の見極め方》
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患者さんにとって、危険な症状を見逃さないためにも、的確な質問を体系的に整理しておくことは、緊急/安心の判断や医師への情報提供において有用でしょう。本書では、臨床で遭遇頻度の高い19の身体症状が取り上げられ、それぞれ医療機関を受診すべきかどうかを、どのような情報に基づき、どのようなプロセスで判断していけばよいのか丁寧に解説されています。
また、そのエッセンスは各章ごとに緊急度判断チェックリストとしてまとめられており、現場ですぐに活用できる実践的なテキストとなっています。身近な健康問題と関わる医療・介護スタッフ、登録販売者の方にお勧めしたい1冊です。