思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍紹介】薬局 2020年8月号 β遮断薬 これまで集積されたノウハウと薬物治療の最前線

 南山堂さんの月刊誌『薬局』、8月号の特集はβ遮断薬です! β遮断薬だけで特集が組めるほど、奥の深い薬だなぁ、というのは本当に共感するところがあります。

薬局 2020年8月号 特集 「β遮断薬 ? これまで集積されたノウハウと薬物治療の最前線 ?」 [雑誌]

 β遮断薬は一般的に陰性変力作用を有するため、左室の収縮力を低下させます。なんとなくですけど、理論上は心不全を悪化させるようなイメージがあるんですよね。実際、1970~80年代においては、心不全治療の主流はジゴキシンのような強心薬と利尿薬でした。しかし、その後に行われた数多くの臨床試験において、屈出率の低下した心不全予後を改善させることが報告され、今や心不全治療の標準薬としての地位を確立しています。

 最近では左心室駆出率に応じた薬物治療の効果サイズに関心が向けられ、エビデンスが蓄積されつつあります。こうした近年の動向の中でも、β遮断薬は一定の効果が期待できるものとして注目されています(PMID: 29040525/28780577)。

 とはいえ、いくつかのエビデンスの結果は相反しており、見解の一致を認めていません(本特集を参照)。このことはまた、循環器疾患の終末象である心不全が、僕たちの想像以上に複雑な病態の上にもたらされているという事なのでしょう。

 β遮断薬は心不全治療以外にも高血圧や不整脈などに用いられますが、個人的に興味のあったトピックがCOPDでした。

medical.nikkeibp.co.jp

 COPD患者では心不全を合併していることが多いという点について、本特集でも言及されています。

 そしてなんと、「薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座」が最終回となってしましました💦(桑原先生、お疲れ様でした!) 

 本連載を通じて、投資に対する基本駅な考え方、向き合い方を学ばせていただきました。豊かになる方法は様々ですけど、投資はその一つだと思います。生きることそのものがリスクであることは、医療・健康情報を紐解く中で十分に理解してきましたし、大事なのはリスクとの向き合い方なのだなと感じています。投資をするとは、刻々と変化する社会情勢の機微に敏感になり、リスクとの付き合い方を学ぶ良いきっかけになるものだと思います。

 僕自身も投資を初めて約1年、その間にもいろいろと失敗はありましたが、結果的に10%以上の含み益を安定して確保できるくらいにはなりました(その程度と言われればそれまでですけども💦。

syuichiao.hatenadiary.jp

 論文を読むことも、有価証券報告書を読むことも、情報を批判的に吟味して、豊かな生活の実現のために活用するという意味においては同型のような気がしています。むろん、情報を吟味するための訓練は必要でしょう。継続的に論文を読んできたように、継続的に有価証券報告書会社四季報に目を通していこうと思います!