思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【書籍紹介】最新エビデンスで答える薬物療法のClinical Question142:「月刊薬事」2020年9月号

 臨床で遭遇する疑問の解決において、臨床医学論文、すなわちエビデンス情報は臨床判断の拠り所となるような示唆をもたらしてくれます。しかし、その場で解消したように感じた疑問も、実は暫定的な解決に過ぎません。エビデンス情報はその都度、絶対的に正しいものではなく、その知見が大きく覆されることも稀ではないからです。

 実際、エビデンスの総体ともいえるシステマティックレビューでさえも、その結論は5年ほどで覆ってしまうことが報告されています(Ann Intern Med. 2007 Aug 21;147(4):224-33)。過去に向き合った臨床疑問でも、そのテーマに関する最新のエビデンスが報告されたときに、改めて振り返りながら再評価する必要性があるわけですね。そうした地道な積み重ねこそが、継続的な学びのスタイルと言えるかもしれません。

 とはいえ、疑問の背景に関する知識が不足していたり、自分の専門としない領域についての疑問は、これまでにどんな事が分かっていて、どんな事が分かっていないのか、容易に把握できないことは多いと思います。最新のエビデンスが報告されたとしても、その臨床的意義を上手く汲み取れず、せっかくの学びの機会を逃してしまうことに繋がりかねません。臨床疑問とこれまでの知見、そして最新のエビデンスをどう結び付ければよいのか……。

 

 そんな中、発刊された「月刊薬事」2020年9月号(じほう)の特集は「必須の17領域をまとめてアップデート!最新エビデンスで答える薬物療法のClinical Question142」です!

月刊薬事 2020年09月号 [雑誌](特集:必須の17領域をまとめてアップデート! 最新エビデンスで答える薬物療法のClinical Question142)

 内科系疾患17領域において臨床で遭遇する頻度が高いと思われる臨床疑問を、最新のエビデンスを交えて解説しています。クリニカルクエスチョン形式での編集方針によって、ただエビデンスを紹介するにとどまらない、とても実践的な内容になっています。最新のエビデンスをどう活用したら良いか、多くの気づきを得られることと思います。