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思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

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【JJCLIP】平成28年度第4回薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせ

〔開催概要〕

■開催日時:平成28年7月24日(日曜日)
■午後20時45分頃 仮配信
■午後21時00分頃 本配信
なお配信時間は90分を予定しております.

※ツイキャス配信はこちらから→http://twitcasting.tv/89089314

ツイキャス司会進行は、精神科薬剤師くわばらひでのり@89089314先生です。

〔くすりのリスク〕

薬の有効性、安全性とはいうものの、”有効性”やら”安全性”などという言葉は非常に多義的であり、様々な意味を含んだ曖昧な言葉である。こういった言葉は日常、よく耳にするが、いったい、どんな効果について、どの程度有効(もしくは有害)なのか、ということに対する有用な答えを得ることはあまり多くない。

抗コリン薬というと、口渇、便秘などの有害反応に関しては決してまれなものではないだろう。例えば、過活動膀胱治療薬において、泌尿器症状への効果と、これらの有害反応のバランスをどう考慮したらよいか、という問題に悩んだ薬剤師もいるはずだ。

このような比較的短期的で、急性の薬物有害反応は、迅速な対応に迫られることも多いため、明確に意識されやすいように思われるが、長期的で慢性に経過する薬物有害反応(あるいは薬物有害事象)についてはあまり意識されないことも多いのではないか。

抗コリン薬には肺炎や骨折リスクのほか、認知機能への影響が指摘されている。今回の抄読会では抗コリン薬の認知機能に対する影響を検討した論文を読み、薬剤の有害リスクの考え方について模索する。

〔抗コリン薬と認知機能〕

抗コリン薬の使用は脳の萎縮、機能障害に関連しており、特に脳の総皮質減少、頭葉皮質厚減少、側脳室増大、下方側脳室容積増大が報告されている。(Risacher SL.et.al.2016.PMID: 27088965 )

抗コリン作用を有する薬剤は多岐にわたる。過活動膀胱治療薬などはまさに抗コリン薬ではあるが、抗ヒスタミン薬や抗うつ薬ベンゾジアゼピン系薬剤、一部の消化器系用薬(コランチル®)にも抗コリン作用はある。

こういった薬剤が重複して投与されれば、さらに認知機能低下リスクが増加するかもしれない。今回取り上げるテーマ論文では、過去10年間の抗コリン薬累積暴露量をtotal standardized daily doses (TSDDs) という指標で示している。端的に言えば、推奨されている一日用量でそれぞれの処方量を除したものと言える。つまり、標準的な投与量であれば、累積使用日数と解釈して大きな誤りはないだろう。

この論文は、どれくらい服用していると、どの程度認知症リスクが上昇するのか、という、臨床という観点からすれば、とても興味深い前景疑問に対する示唆が述べられている。

〔症例シナリオとテーマ論文〕

≪症例31:風邪薬を服用すると認知症になりやすいのでしょうか?≫

【仮想症例シナリオ】
あなたは, とある街の薬局に勤める薬剤師です.
梅雨上がりの夏本番, 気温も上がり, 脱水症状対策のチラシを補充しようかなと考えていたら,一人の女性があなたに相談にやってきました.

「この間の週刊誌に, “薬でむしろ認知症になる!”なんて記事を見かけて以来, どうも不安で…私の飲んでる薬なら大丈夫なのかしら?」

[患者情報]
67歳女性。軽度な過活動膀胱で5年前より治療中
特に大きな病歴もなく, 軽い運動もしている(自己申告)
ただ近医への定期受診時に, 「風邪を引いた時のために」と総合感冒薬が数日分だけいつも処方されている

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コハク酸ソリフェナジンOD錠5mg 1錠 分1朝食後
プロメタジン1.35%等配合非ピリン系感冒剤 4g 分4毎食後および就寝前

あなたは, 週刊誌の情報が本当に正しいのか調べてみたところ,
抗コリン作用薬と認知症発症に関する一つの論文を見つけることができたので,早速, その場で読んでみることにしました.

【論文タイトルと出典】
Gray SL.et.al.Cumulative use of strong anticholinergics and incident dementia: a prospective cohort study.JAMA Intern Med. 2015 Mar;175(3):401-7. PMID: 25621434  
Pubmedhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25621434
PDF:http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx…
(JAMAへの無料会員登録が必要)

【使用するワークシート】
観察研究を10分で吟味するポイント:http://j.mp/jjclipsheet3