【書籍】人工知能に哲学を教えてみたら、いったいどうなるか?ー『人工知能に哲学を教えたら』
あらかじめコンピュータに人間が規則や推論、知識などを教え込み、そこから現実世界の具体的問題を解決させる、かつて人工知能が行っていた演算処理はこうした演繹的なプロセスでした。しかし、今やビックデータを人工知能自ら解析し、膨大なデータの中から統計的な推論を行い(ディープラーニング)、帰納的プロセスによって問題解決を行える時代となりました。
人工知能が行っている判断は、あらかじめ定義した事実を参照基準とした『事実判断』ではなく、人間の経験的データの総体、間主観性に配慮した『価値判断』を行っているといっても大きな誤りではありません。そして、そのような価値判断をいかにして行うのか、と問うた時に浮き彫りとなってくるのが、「正義とは何か?」「幸福とは何か?」「美しいとは何か?」「正しいとは何か?」といった基本的な哲学的問題といえるでしょう。
人工知能に哲学を教えてみたら、いったいどうなるか? 『いま世界の哲学者が考えていること』の著者、岡本裕一朗 先生による人工知能の哲学的問題に関する入門書。
判断するとはいかなる行為なのか。人工知能を通じて、これまでの哲学的な問題を分かりやすく解説する哲学の入門書としてもおすすめです。