薬の現象学~あとがき~
全8回にわたり、薬剤効果の考察から、薬剤効果に関する因果関係について、薬剤効果の諸原理とその世界像に対する考察を加え、後半では疾患成立の恣意性、病名付与がもたらす「力」の構造、患者固有の時間への影響を考察してきた。それを踏まえて、危機に瀕している現代医療における薬剤効果の世界像を一度解体し、再構築する必要性を述べた。そしてその再構築に必要な基盤が科学的に妥当な因果関係を示唆したエビデンス情報であり、その曖昧性を曖昧なまま捉えることで新たな薬剤効果の世界像における価値観を創造してゆく可能性を示した。
本論考は当ブログ、思想的、疫学的医療についての過去記事がベースとなっている。またその思索において、多大なる影響を受けたのだが名郷直樹先生の構造主義医療論である。また現象学やソシュール言語学から受けた影響も大きい。
以下に、本論考の参考文献を示す。