僕たちの目の前には様々な存在があります。”ソンザイ”なんていうと、なんとなく堅苦しいですけど、例えば、目の前にはパソコンが存在していて、テーブルの上にはリンゴが存在している、というような感じです。そんな「存在とは何か」という根本問題を研究す…
OTC医薬品に関するコラムの連載をファーマトリビューンさんで開始しております! 第1回:総合感冒薬~子供のかぜ薬、どんな薬がイイですか? ptweb.jp ptweb.jp 第2回:総合感冒薬~普通のかぜ薬と漢方、どっちがイイですか? ptweb.jp ptweb.jp 保険薬局に…
野家啓一先生、四半世紀にわたる哲学的探究の軌跡。貴重な論文集です。科学と哲学のはざま、現象学と分析哲学のはざま、安全と安心のはざま。これらの『あいだ』を紡ぐのが、あるいは ”はざま" の哲学そのものの思索なのかもしれません。 はざまの哲学 『科…
※翻訳のチェックはしていません。二次利用の際はご注意ください。 Mangin D, et al : International Group for Reducing Inappropriate Medication Use & Polypharmacy (IGRIMUP): Position Statement and 10 Recommendations for Action. Drugs Aging. 2018…
医学書院さんの『総合診療』7月号は、専門医からの視点で選ばれた「Specialist Drug 40」です! 総合診療 2018年 7月号 特集 この薬だけは押さえておきたい! 総合診療医のためのSpecialist Drug 40 近年、ヘルスケアシステムの変化により、これまで病院専門…
リン・マーギュリスによる細胞内共生説は、真核生物細胞の起源を説明する仮説として、その提唱以来、広く受け入れられている。この仮説によれば、ミトコンドリアや葉緑体は、細胞内共生した他の細胞に由来するものである。とはいえ、ミトコンドリアと人との…
先日、『あらゆる医療言説(あるいはそれに基づいた臨床判断、すなわち医療介入)にはトンデモ性が含まれている』と発言したら、批判的な意見も含め、様々なリアクションがあったので、ここで僕の考えを少し整理しておきたいと思います。なお、『医療にはト…
南山堂さんの月刊誌『薬局』7月号が発刊されています。 薬局 2018年 7月号 特集 「衛生害虫対策 ―医療従事者が押さえておきたい基礎と実践―」 [雑誌] 今月号の特集はなんと「衛生害虫」。巻頭グラビア付と、かなり気合も入っています。 衛生害虫とは、人に衛…
僕はこれまで、いろいろな文章を書いてきました。書籍やウェブ上のコラム連載、学術論文等、その多くが薬の専門家として、専門的な内容が多かったように思います。したがって、僕の文章に対する価値(もしあるとすればですけど)や評価基準は、文章表現や文…
南山堂さんのレスピプラス、夏号は褥瘡特集です!褥瘡の基本的な知識から、臨床における具体的な対応、外用剤の使い分けまで、体系的にまとめられた貴重な1冊となっております。 レシピプラス Vol.17 No.3 褥瘡管理と外用療法: 基礎固め 薬剤師のジャーナル…
高齢者に対するベンゾジアゼピン系薬剤というと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。こういうタイトルをつけていてなんですけど、一般にあまり良い印象を持たれる方は多くないように思います。どちらかと言えば「不適切」、そんなイメージでしょ…
Overuseに代表されるような過剰医療という概念は、不必要な医療、あるいは無駄な医療という認識をより強固なものにしていきます。ポリファーマシーをめぐる問題など、近年こうした過剰医療に対する風当たりは強く[1]、実際、Choosing Wisely キャンペーン[2]…
過去の出来事。それは確かに実在していると僕たちは確信しています。もちろん、過去が実在しなければ、今現在も存在しえないということになりますから、過去なるものが存在する(あるいは、した)ことは間違いないでしょう。 しかしながら、過去そのものにつ…
薬物療法の適正化、あるいは薬の適正使用とは良く聞く言葉ですが、そもそも適正ってなんでしょう……。 不適切な薬物療法といった場合の不適切性というのは、よくよく考えてみると、捉えどころのないものです。一体、誰にとっての不適切性なのでしょうか。医療…
本記事は以下の論文を参考にしながら ”医学的無益” についてまとめたメモです。日本語訳のチェックは行っていません。二次利用の際はご注意ください。 Aghabarary M, et al : Medical futility and its challenges: a review study. J Med Ethics Hist Med. …
【summary】■慢性疾患用薬の服薬アドヒアランスは総じて低いものの、2型糖尿病患者の服薬アドヒアランスは決して悪くはない。■糖尿病治療薬の服薬アドヒアランスはDPP4阻害薬で優れ、メトホルミンで劣る。■糖尿病治療薬の服薬アドヒアランスに大きく影響を与…
格差と貧困は、意識なくして混同されがちな言葉かもしれませんけど、道徳的な観点からいえば、両者は別物だと言えます。格差は不平等状態を具現化したものであり、そこには必ずしも道徳的な問題を孕んでいないケースもあります。他方で、貧困とは “不十分な…
とらわれ続けていたものから視線をそらし、様々な視点から改めて物事を見つめ直すプロセス。何かを学んでいくうえで、僕はこうしたプロセスの繰り返しがとても大切なことだと思います。「この道一筋」というもの大事なことかもしれません。でも、あるテーマ…
医療、健康情報をブログメディア等で発信する場合、どうしてもその根拠となる論文情報(エビデンス)を引用する必要がありますよね。できれば論文に使われている図表もそのままブログに転載できると、視覚的にもわかりやすい記事を作ることができます。 しか…
【背景】 2013年6月、厚生労働省予防接種検討部会はHPVワクチンの「積極的な勧奨は一時、取りやめる」との意見をまとめ、対象者への接種の積極的呼びかけを中止するよう自治体に勧告しています。[1] これは、HPVワクチン接種後に、複合性局所疼痛症候群(com…
2月14日はバレンタインデーということで、いくつかチョコレートにまつわる記事を書いてみました。日刊ゲンダイでは昨年報告された日本人を対象としたコホート研究を取り上げてみました。 hc.nikkan-gendai.com この研究では、チョコレートの摂取が多いと女性…
学校給食法なる法律があることを、僕は初めて知りました。小学生のころ、何気なく食べていた給食にも、食に関する正しい理解と適切な判断力を養うというミッションがしっかりと規定されているようです。 学校給食法第2条には以下のように学校給食の目的につ…
もう薬はいりません……という価値判断。終末期における治療継続をめぐる問題や、ポリファーマシーの是正というテーマに向き合うことは、こうした臨床判断の是非について考えることでもある。医療財源が枯渇する現代社会において、”無益な治療”を継続するメリ…
アルツハイマー病を、簡単な検査で判定することが可能な技術が生まれようとしている……。そんなニュースが飛び込んできた。 www3.nhk.or.jp www.nature.com アルツハイマー型認知症の病理所見として、脳内のβアミロイドの蓄積は知られている。 Hardy J.et.al.…
NPO法人AHEADMAP公式会報誌「臨床批評」の最新号VoL.2 No.1が発刊されています。 臨床批評VoL.2 No.1ダウンロード(PDFファイル) https://aheadmap.jimdo.com/app/download/9129626165/%E3%80%8C%E8%87%A8%E5%BA%8A%E6%89%B9%E8%A9%95VOL.2.No.1%E3%80%8DAH…
地域医療ジャーナルに投稿させていただいたいくつかの論考で、情報と情動について考えてきた。情報化社会などとあたらめて言うまでもなく、膨大な量の情報渦巻く現代社会で、僕たちは何をよりどころに主体性や価値判断を追い求めていけばよいだろうか。 ある…
[introduction] 2つ以上の慢性疾患を有する状態、すなわちマルチモビディティは高齢者において決して珍しいものではなく、その存在割合は50~80%と想定される。[1][2] マルチモビディティは死亡や機能低下、健康関連QOLの低下など患者の予後不良と関連して…
■処方カスケード[高血圧etc▶利尿薬▶尿酸値上昇or痛風発作▶尿酸降下薬] 利尿薬の有害反応として電解質異常や血清尿酸値上昇は良く知られている。実際、チアジド利尿剤の使用で、尿酸降下薬治の開始が有意に増加することが後ろ向きコホート研究[1]により示され…
■処方カスケード[疼痛▶NSAIDs▶血圧上昇▶降圧薬] 薬剤誘発性高血圧の原因薬剤としてNSAIDがあげられる。同薬剤は腎プロスタグランジン産生抑制による水、Na貯留と血管拡張の抑制をもたらすことで血圧上昇に寄与しうる。 実際、1994年にGurwitzらにより報告さ…
「処方カスケード」なる現象は実在するのだろうか。薬剤追加は薬物有害反応が真の原因なのだろうか。そんなことを少し調べている。今回はコリンエステラーゼ阻害薬と抗コリン薬の処方カスケードについて。 ■処方カスケード[認知症▶コリンエステラーゼ阻害薬▶…