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思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

カウンター カウンター

小説を書いてみて気が付いた”学びのカタチ”

小説と言うと、純文学や大衆文学のようなものを、文庫本なり単行本なり紙の本でじっくり読むもの、というイメージを持っている方も多いと思います。しかしながら、現在の小説という概念は、10年前のそれと、かなり異なっているよう思います。それはむしろゲ…

[哲学]×[医療]で見えてくるもの~開かれた医療とその敵~

地域医療ジャーナルでの僕の連載「開かれた医療とその敵」が完結しました。この論考は、医療情報に対する僕の思想的立場をまとめたものです。連載タイトルにあるように、その多くはカール・ライムント・ポパーの批判的合理主義の考え方に基づいています。 cm…

時間は実在しない?マクタガートの「時間の非実在性」を読んでみた。

ジョン・マクタガート(John McTaggart)は「時間の非実在性」という論文(Mind.1908.17: 457-73)で時間が実在しないことを論証している。時間が実在しない、というのはなかなか驚くべき事態であり、個人的にはやや魅力的なテーマでもあるが、その論文の全訳が…

日本語によるグーグル検索で医学論文情報を効率的に収集するコツ

日本語でのグーグル検索でも、なんとか良質な医療情報に、効率的にたどりつくコツのまとめてみました。

[書評的な何か]人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか~アンドロイドと心の存在論的考察~

[人間の機械化] 人間の機械化というのは、何もSFの話だけではない。語弊を恐れずに言えば、現代医療において、生体組織の機械化というものは治療の一部として既に受け入れられているのではないか。「機械化」とう言葉に違和感があるのかもしれない。それは…

みんなで考えたポリファーマシー~薬剤師としてポリファーマシーに関わるということ~

2016年12月18日に薬学ゼミナール生涯学習センターで開催された『みんなで考えるポリファーマシー』をファーマトリビューン(PharmaTribune)さんに取り上げていただきました。 ptweb.jp 取材レポです!今回は青島周一先生の講演。会員登録なしで全文閲覧でき…

医学論文、活用の仕方がわかりません!!~論文情報活用のヒント~

前回は『医学論文を読むにあたり”壁”となっているものと、それを乗り越えるために…』と題して、Twitterの投票機能を使った調査に基づき、医学論文を読むにあたり、障壁となっている問題点を取り上げ、それをいかに乗り越えていくかについて、参考となる書籍…

医学論文を読むにあたり”壁”となっているものと、それを乗り越えるために…

薬剤師によるEBM実践は、まだまだ普及しているとは言えないように思います。やはり医学論文を読むにあたり様々な壁や問題があるのかもしれません。そうした壁や問題はどこにあるのか、Twitterの投票機能をつかって調査してみました。 ・質問①医学論文を読む…

WELQ問題から学ぶ医療情報の「正しさ」とは何か~トンデモ医療と妥当な医療の境界~

WELQと日経メディカルはどこが違うのか:日経メディカル https://t.co/42ZgIEmvRQ #日経メディカル — 青島周一 (@syuichiao89) 2017年1月20日 医療に関するブログメディアを複数運営する僕の経験からすると、ウェルクと日経メディカルの差は記事内容の『正し…

ベンゾジアゼピン系薬剤をどう考える?~「これで解決!ポリファーマシー」~

日経DIオンラインで連載している僕のコラム、『これで解決!ポリファーマシー』が更新されました。 ケース15 有害リスク軽減のために提供できる選択肢は?ベンゾジアゼピン系薬の依存を心配する68歳男性(要無料会員登録) 今回はベンゾジアゼピン系薬剤のお…

高齢者薬物療法において薬剤師が留意しておきたい、たった一つのこと。

超高齢化社会なんて言うわけなんですが、薬剤師業界においても、高齢者薬物療法に注目が集まっているように思います。日本老年薬学会や高齢者薬物療法認定薬剤師制度の発足がそれを裏付けているとは言えないでしょうか。 高齢者薬物療法が注目される背景には…

潜在的に不適切な仕方で用いられているキノロンの影~小児への処方実態から考察する~

添付文書上、フルオロキノロン製剤(以下キノロン)は、その多くが小児に対して「禁忌」となっている。添付文書上の小児とは一般的に15歳未満を指すが、厚生労働省が公開した第1回NDBオープンデータ(H26年04月~H27年03月)を調べてみると、キノロンが小児…

noteの本格的な運用を開始します。

noteの本格的な活用を開始します。noteとは、クリエイターと読者を繋ぐサイト「cakes」などを展開している株式会社ピースオブケイクが立ち上げた個人向けのメディアプラットフォームです。 note.mu 見た目や機能は個人的にはツイッターと似ている部分も多い…

年頭所感〜時間の積層性を意識して~

吉浦康裕さん監督、脚本、制作の『ペイル・コクーン』という2005年の短編アニメーション映画を見た。 studio-rikka.com ペイル・コクーン [DVD] 新品価格¥29,971から(2017/1/27 09:26時点) 歴史の連続性が途絶えるほどの未来で、過去の世界は僕たち人間にと…

薬剤効果に関する思想的立場「構成的実在論」の提唱

論文「薬剤効果の構成的実在論」が地域医療ジャーナルに掲載されました。 cmj.publishers.fm 薬剤効果の構成的実在論は、僕が思索を続けてきた薬剤効果に対する思想的立場であり、実臨床で薬剤効果を考えていくうえでのメタ原理となるものです。この思想的立…

今年1年の思索を振り返り思うこと~希望へ模索と後ろめたさの自覚~

[過酷なるニーチェ] 中島義道さんの文章は心えぐられるようなリアルな文体が好きなのだが、河出文庫から新刊が出てたので無意識に購入していた。 過酷なるニーチェ (河出文庫) 作者: 中島義道 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/11/08 メディア: …

ポリファーマシーへの関わり~EBMの手法に対する批判と応答~

ポリファーマシー。ここ数年、思索を続けてきたテーマである。いわゆる多剤併用問題という認識を持つ人は多いかもしれないが、突き詰めると、薬物療法の根本的な考え方、認識という問題に行きつくような気がしている。ポリファーマシーへの関わりとしていく…

高齢者のてんかん

[高齢者てんかんの原因] てんかんは従来、比較的若い世代の疾患という認識でしたが、近年では高齢者においても一般的な疾患であることが示されています。(図1) (図1)年齢別新規てんかん発生率(Lancet Neurol. 2005 Oct;4(10):627-34、図はDtsch Arztebl…

自殺をしたいと言う想いにどう向き合えばよいのだろうか、という考察を始めたい。

[精神疾患と自殺]精神科領域の医療において、考えるべき真のアウトカムとは何だろうか。もちろん、精神疾患症状の改善、例えば治療応答だとか、寛解と言うものが挙げられるだろうが、「疾患を抱えたまま生きていく」、というようなことが現実であろう。症…

NDBオープンデータから垣間見る薬剤使用の現実

『第1回レセプト情報・特定健診等情報データベースNDBオープンデータ』が厚生労働省のホームページに公開されている。 www.mhlw.go.jp 公表データは医科診療報酬点数表項目、 歯科傷病、 特定健診集計結果、 薬剤データから成る。薬剤師としては、是非薬剤…

新規糖尿病治療薬の臨床試験をめぐるあれこれ

[新規糖尿病治療薬の臨床試験] 近年、新規経口糖尿病薬の大規模臨床試験は心血管アウトカム関して、プラセボに対する非劣性というデザインで研究されている。非劣性試験とはコントロール群に比べてアクティブ群が少なくとも臨床的に劣っていないかを検討す…

『理論』と『現象』(2)

科学理論が措定する実態を僕たちはナイーブに観察できない。したがって、僕らは認識しうる現象と客観的知識の整合性をもってして実態と対応してるであろう理論を暫定的に真理として解釈しているに過ぎない。以下、記事を参考にしてもらえれば幸いだが、それ…

医療は人を癒せるのか

医療は人を癒せるかをテーマに拙文を掲載していただきました。僕の論考を含め6つの記事が掲載されている『地域医療ジャーナル』10月号の特別企画はとても興味深いです。現代医療の中で失われてしまったのは癒しの力ではないか、そういった観点[1]から組まれ…

『理論』と『現象』

『科学理論は本質的に暫定的なもの、永遠に暫定的仮説であり続けるものなのである』(ポパーの科学論と社会論p16) 理論とは科学理論に代表されるように、つまりはこの世界を説明しうる究極の真理と言えるようなものである。例えば素粒子物理学における超弦理…

[本の紹介]構造主義科学論の冒険 (講談社学術文庫)

池田清彦先生の「構造主義科学論の冒険」を改めて読んだ。もう何回目だろうか。いまだ理解しているとは言い難いが、整理できたことを言語化しておく。 構造主義科学論の冒険 (講談社学術文庫) 作者: 池田清彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1998/06/10 メ…

ポリファーマシー問題…問題が問題なのかもしれない。

今日は、ポリファーマシー問題の複雑性について話をしてきた。 この問題は世間ではわりと単純化されやすい。「絶対に飲んではいけない薬」などのテーゼに代表される医療否定論は世間の注目を集めやすいためか、巷の週刊誌で特集が組まれるなど、その社会的影…

【書籍出版のお知らせ】ポリファーマシー解決!虎の巻

『ポリファーマシー解決!虎の巻』が出版されます。本書は日経DIオンラインコラムで連載中の「これで解決!ポリファーマシー」がベースになっていますが、その内容は大幅に加筆されています。僕の初めての単著となる本ですが、これまで整理してきた薬の考え…

〔論文〕薬剤効果の構成的実在論

”思想的、疫学的、医療について”いつかは論文化したいと思っていました。 今回、薬学領域における哲学的論考として「薬剤効果の構成的実在論」を”地域医療ジャーナル”に原著論文として投稿しました。 現在、初稿が掲載されていますが、パブリックレビュー中…

自己を対象とした疫学的研究デザイン

Use of self-controlled designs in pharmacoepidemiology. - PubMed - NCBI [ケースクロスオーバ研究] ケースクロスオーバーデザインは1991年にMaclureによって提唱された。[1]このデザインはデザインはsexual activityと心筋梗塞の急性発症リスクとの関連…

【JJCLIP】平成28年度第4回薬剤師のジャーナルクラブ開催のお知らせ

〔開催概要〕 ■開催日時:平成28年7月24日(日曜日)■午後20時45分頃 仮配信■午後21時00分頃 本配信なお配信時間は90分を予定しております. ※ツイキャス配信はこちらから→http://twitcasting.tv/89089314 ツイキャス司会進行は、精神科薬剤師くわばらひでの…

価値に基づく医療について

[EBMが受けてきた誤解とその背景] 何かを決断する。医療現場において、「決断」を抜きに医療を提供することはあり得ない。そこにはなにがしかの臨床判断が存在する。evidence-based medicine:EBMはエビデンスを踏まえたうえで、患者の想いや、患者を取り巻…

薬剤効果の認識論的転回~薬剤効果の反実在論~

言語論的転回はコトバが思考を表出するのではなく、思考はコトバに規定されてしまうということを明らかにした。つまり、コトバがなければ思考も存在しないのだ。僕たちの目の前に広がる世界は、そういった意味では決して自由な仕方で存在しない。 カントの言…

薬物治療を思考する~超高齢者に対するアピキサバンの有効性・安全性検討~

[はじめに] 世間一般の処方動向をみると、高齢者に対するアピキサバンの使用は決して少なくないようである。確かに、ダビガトランなどと比べるとクレアチニンクリアランスに関する禁忌も緩い(15mL/min未満)。これは同じ抗凝固薬でも薬剤ごとに腎排泄の度…

有害アウトカム覚知の暫定性-生成と消滅のゆくえ―

[はじめに] ランダム化比較試験(RCT)は仮説検証型研究であるが、仮説を検証できるのは一次アウトカムのみである。また多くの場合で、倫理的な問題から、有害アウトカムが一次アウトカムになることはない。とはいえ、一つのランダム化比較試験で示された有…

[出版のお知らせ]エビデンスを探して読んで行動するために必要なこと

薬剤師が臨床医学に関する論文を読むという事、それは、これまで抱いていた薬物治療の世界観を大きく変えます。ものの見方、考え方に多様性が満ち満ちてくる。少なくとも僕にとってはそうでした。学生時代、いや薬剤師となってからも、理論(theory)を多く…

薬剤効果の形而上学

薬剤効果をめぐる議論は時に信念対立を招く。薬が効くというその仕方は、科学的にどのように説明しうるか、と言う問題は、どんな薬剤効果理論が真なる理論なのか、という問題を提起する。薬理学に基づく考え方、疫学に基づく考え方、おおよそ基礎薬学、臨床…

何のために健康を欲するか。

「これから正義の話をしよう」やNHKの白熱教室でおなじみ、政治哲学者マイケル サンデルの理論展開は、「公正」に関わるもの、「腐敗」にかかわるものという2の視点から功利主義やリバタリアニズムを批判する。[1]「公正」という観点からは市場選択に反映さ…

自由の探究-ジョン・スチュアート・ミル自由論-

カントに引き続き…。 syuichiao.hatenadiary.com 今回はミルの自由論を読んでみた。イギリスの功利主義者ジェレミー・ベンサムの盟友ジェームズ・ミルの息子であるジョン・スチュアート・ミル。教科書的には質的功利主義を提唱した哲学者・経済学者というイ…

【JJCLIP】知識とは情報が生み出す信念である。

僕たちはいったい何を信じ、どう行動すればいい? 知識とは情報が生み出す信念である。[1] つまり、知識は情報の更新とともに常に訂正可能性を持つ。最新のエビデンスは重要だけれども、最新のエビデンスが必ずしも正しいことを示しているわけではない。また…

自由の探究~イマヌエル・カント道徳形而上学の基礎づけ~

自由の探究。学びや臨床判断にとって自由とは何か。しばし探求することにした。今回は、マイケル サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』でも数多く引用されているカントの『道徳形而上学の基礎づけ』。カントの言う“自由”とは何か。なお引用は光文社…

ポリファーマーシー問題の再考

ポリファーマシーに関するとても重要な論文情報を知ったので、以下で概要を述べ、考察していく。 www.ncbi.nlm.nih.gov 〔introduction〕 STOPP及び START criteria は潜在的に不適切な処方の識別目安となる。Beers' criteriaよりもSTOPP criteriaの方が、PI…

ノセボ効果に垣間見る薬剤情報提供のリスク

プラセボ効果のように、薬を飲んでいるから副作用が出るかもしれないという思い込みが、薬の作用とは関係なしに身体不条理を誘発してしまうことがあるという。これをノセボ効果と呼ぶ。つまり、全く効果のない薬でも思い込みによって副作用が出てしまう効果…

医療に自由はあるか。-“正義”に潜む“犠牲”の声に耳を傾けて‐

医療における“自由”を考えている。自由とは何だろうか。これまで数々の議論が交わされたであろうこのテーマだが、医療における自由を考える機会は、そう多くないように思える。 学校には校則と言うような規則があった。集団生活を円滑に行うためにも一定の規…

かかりつけ薬剤師とは何なのか

「かかりつけ薬剤師」とは、患者が使用する医薬品について、一元的かつ、継続的な薬学管理指導を担い、医薬品、薬物治療、健康等に関する多様な相談に対応できる資質を有するとともに、地域に密着し、地域の住民から信頼される薬剤師を指す。 (日薬業発第19…

恐怖の哲学から垣間見るポリファーマシー問題

〔introduction〕 ポリファーマシー(Polypharmacy)と言う概念をうまく日本語で表すことは難しいように思う。ただ一般的には多剤併用と言われているような概念だろう。「Poly~」、つまりたくさんのファーマシーと言うわけだ。 ポリファーマシーと聞いて受…

医療における「悪」とは何か~事実と価値の2分法から垣間見る臨床判断の姿~

〔信念への懐疑と真理の追究〕 僕たちにとって十分に信頼に足るであろう信念が、積み重ねられる経験の中で極めて疑わしいものとなることは多々あるだろう。知的探求における懐疑とは、チャールズ パース[1]に言わせれば、「実際の行為の文脈のなかで、疑わし…

「死」の医療化

死にゆく過程。それは生物が生まれてから死に至るまでのすべての期間を指す。生と死。厳密にその境界線を引くことは不可能である。心肺機能が停止しても細胞レベルで言えばミトコンドリアはATPを産生しているかもしれないし、ある種のリボソームではタンパク…

セカオワと構造構成主義と病気の実在について

〔世界の終り?〕 僕は中学時代からギターを始め、高校、大学とずっと音楽をやってきた。大学卒業後はバンド活動こそしなかったものの、Logic Pro、TRITON、Macという機材群とギターで音楽を作っていた時期もあった。[1]そんな経験もあってか、音楽はジャン…

年頭所感〜“象”を追え〜

新年あけましておめでとうございます。 旧年中は、大変お世話になりました。 本年もよろしくお願い申し上げます。 今年の抱負というか、目標というほど大げさなものでもありませんが、「言語化」というのは、一つ、大きなテーマだと感じています。もちろんこ…

ドーナツとエビデンス

〔何もないという何かが存在する場所〕 ドーナツ、ドーナッツ。どちらでも良いのですが、僕はドーナッツと呼びますかね。ウィキペディアではドーナツと言う項目で掲載されているようです。[1] 僕が説明するまでもなく小麦粉に砂糖やバターなんかを混ぜた生地…