思想的、疫学的、医療について

医療×哲学 常識に依拠せず多面的な視点からとらえ直す薬剤師の医療

カウンター カウンター

小説あれこれ。

2017年頃から小説を書き溜めてはいるのですが、僕が書いた小説が、思わぬ評価をうけることもあって、正直なところ嬉しい限りです。 DeNAとNTTドコモとの共同出資企業、株式会社エブリスタが提供する小説投稿サイト、エブリスタでは、定期的に『三行から参加…

【書籍紹介】哲学がわかる 因果性

因果性(causality)とは、2 つの出来事が原因と結果という関係で結びついているかどうかを問題にした概念のことです。一般的に、二つ以上の出来事の間に、原因と結果の関係があることを因果関係と呼びます。 僕らの日常世界は、常にこの因果性を前提として…

地域医療ジャーナル 2018年の記事を振り返る

地域医療ジャーナル 2019年01月号 vol.5(1) が発刊されています。 cmj.publishers.fm 今年も月1回、12記事を執筆させていただきました。同じテーマを長期的に連載するというよりは、毎月ごとにテーマを決め、それについて学びを深めていく過程を記事にしてい…

【書籍紹介】月刊誌「薬局」2019年1月 Vol.70 No.1 & Rp.+ レシピプラス 2019年冬号 Vol.18 No.1

クリスマスもすぎると、年末の雰囲気が色濃くなっていますね。あっという間に2018年が過ぎ去ろうとしていますが、書籍の紹介です。 南山堂さんの月刊誌「薬局」2019年1月 Vol.70 No.1は、毎年恒例、Evidence Update 「最新の薬物治療のエビデンスを付加的に…

【書籍紹介】在宅新療0-100 2018年12月号―ポリファーマシー;在宅医だからこそできる対策とは

『0歳から100歳まですべての方の、日々の暮らしを支える自宅での医療、看護、ケア、そして地域連携までを考え提案する専門雑誌』へるす出版さんの在宅新療0-100 今月号は”ポリファーマシー”がテーマです。 在宅新療0-100 2018年 12 月号 [雑誌] 企画・構成は…

【書籍紹介】総合診療 2018年12月号 ( Vol.28 No.12) ー違和感を言語化せよ!!

医学書院さんの「総合診療」で連載中の「もやもや処方の処方箋」、12月号では症例提示をさせていただきました! 今回のテーマは『「この薬、なんか違うかも」に気づいたら!?』です。 総合診療 2018年 12月号 特集 こんなときこそ漢方を! 今回のカンファレン…

【書籍】人工知能に哲学を教えてみたら、いったいどうなるか?ー『人工知能に哲学を教えたら』

あらかじめコンピュータに人間が規則や推論、知識などを教え込み、そこから現実世界の具体的問題を解決させる、かつて人工知能が行っていた演算処理はこうした演繹的なプロセスでした。しかし、今やビックデータを人工知能自ら解析し、膨大なデータの中から…

EPA製剤で心血管イベントリスクは低下するの??

海洋生物由来のn-3脂肪酸の摂取量増加は、いくつかの観察研究において、心臓血管疾患および癌のリスク低下と関連していいます[1]。しかしながら、 n-3脂肪酸の積極的な摂取が、これらのアウトカムに対してどの程度の有効性が期待できるかはあまり明確ではあ…

【DECLARE–TIMI 58】N Engl J Med November 10, 2018 DOI: 10.1056/NEJMoa1812389

Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes N Engl J Med November 10, 2018DOI: 10.1056/NEJMoa1812389 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1812389 [背景]2型糖尿病患者における選択的SGLT2阻害薬のダパグリフロジンに関…

【CARMELINA】JAMA. Published online November 9, 2018. doi:10.1001/jama.2018.18269

Effect of Linagliptin vs Placebo on Major Cardiovascular Events in Adults With Type 2 Diabetes and High Cardiovascular and Renal Risk.The CARMELINA Randomized Clinical Trial JAMA. Published online November 9, 2018. doi:10.1001/jama.2018.18…

【書籍紹介】3ステップで推論する副作用のみかた・考えかた ~有害事象の評価から、副作用の評価へ

薬の副作用について、その種類は学べど、副作用かどうかの見極め方を学ぶ機会は少ないように思います。そんな中、副作用のみかた・考え方を体系的に整理した書籍が発売されました。 3ステップで推論する副作用のみかた・考えかた 『どんな人にも絶対有効で、…

【医療情報を読み解くための国語ゼミ】

地域医療ジャーナルで連載していた『医療情報を読み解くための国語ゼミ』が無事に完結いたしました。 ■第1回:帰納の問題と逆接の接続詞 cmj.publishers.fm ■第2回:事実と意見、議論の前提と主題 cmj.publishers.fm ■第3回:そう主張する根拠は一体なに?-…

【書籍紹介】薬物依存症 シリーズ ケアを考える

薬物依存症 シリーズ ケアを考える 薬物依存症 (ちくま新書) 松本 俊彦 (著) 筑摩書房 (2018/9/6) 新書・350ページ 本体本体980円 『痛みは人を孤立させ、孤独は薬物を吸い寄せる、そして薬物はその人をますます孤立させるのだ』(薬物依存症 シリーズ ケア…

差異を許容することと、「より生きやすい」というアウトカム

『薬剤師としてブログを書く理念や理由・目的』というテーマを頂いたのだけど、ブログを始めたころの心もちを考えていたら、君のことを思い出してしまったので、やっぱり君のことを書こうと思う。 変わりゆくことと、変わっていくこと。僕はあれから1年だけ…

From Lifespan to Healthspan(JAMA総説)

『寿命から健康寿命へ』と題されたJAMAの総説論文の拙訳です。翻訳チェックしていませんので、二次利用の際はご注意ください。いろいろ思うことはありますが、もう人間の平均寿命はプラトーに達しているという印象はぬぐえません。これ以上、検査や投薬をし…

【書籍の紹介】誰も教えてくれなかった実践薬歴

僕は薬学部を卒業してすぐに保険薬局に就職しました。あの当時、配属店舗で半年も働けば、先輩の薬剤師と同等か、それ以上の仕事量が求められていたような気がします。ただ、ひたすら処方箋に記載された薬剤を調剤し、それを患者さんに渡していく毎日。その…

【書籍の紹介】 ポリファーマシーで困ったら 一番はじめに読む本

近年、注目を集めるポリファーマシーをめぐる問題。医療者としてポリファーマシーにどう関わって行けば良いのでしょうか。なかなか最適解が存在しない中、貴重な書籍が出版されました。 ポリファーマシーで困ったら 一番はじめに読む本 研修医、新人薬剤師の…

科学哲学を学びたい人におススメの書籍10冊

ACCORD試験(N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559)という糖尿病の臨床試験があります。糖尿病の治療ではHbA1cを厳格にコントロールすることが大事である、というそれまでのコンセンサスに対して、それを否定するような研究結果を学界に突き付けました。しか…

存在論を勉強してみるー現代存在論~メタ倫理学~科学実在論~心という難問-

僕たちの目の前には様々な存在があります。”ソンザイ”なんていうと、なんとなく堅苦しいですけど、例えば、目の前にはパソコンが存在していて、テーブルの上にはリンゴが存在している、というような感じです。そんな「存在とは何か」という根本問題を研究す…

OTC医薬品に関するコラムの連載を開始しています!

OTC医薬品に関するコラムの連載をファーマトリビューンさんで開始しております! 第1回:総合感冒薬~子供のかぜ薬、どんな薬がイイですか? ptweb.jp ptweb.jp 第2回:総合感冒薬~普通のかぜ薬と漢方、どっちがイイですか? ptweb.jp ptweb.jp 保険薬局に…

[書籍]はざまの哲学

野家啓一先生、四半世紀にわたる哲学的探究の軌跡。貴重な論文集です。科学と哲学のはざま、現象学と分析哲学のはざま、安全と安心のはざま。これらの『あいだ』を紡ぐのが、あるいは ”はざま" の哲学そのものの思索なのかもしれません。 はざまの哲学 『科…

不適切処方、ポリファーマシー解消のための勧告(International Group for Reducing Inappropriate Medication Use & Polypharmacy (IGRIMUP): Position Statement and 10 Recommendations for Action)

※翻訳のチェックはしていません。二次利用の際はご注意ください。 Mangin D, et al : International Group for Reducing Inappropriate Medication Use & Polypharmacy (IGRIMUP): Position Statement and 10 Recommendations for Action. Drugs Aging. 2018…

【書籍】総合診療 2018年07月号-この薬だけは押さえておきたい! 総合診療医のためのSpecialist Drug 40-

医学書院さんの『総合診療』7月号は、専門医からの視点で選ばれた「Specialist Drug 40」です! 総合診療 2018年 7月号 特集 この薬だけは押さえておきたい! 総合診療医のためのSpecialist Drug 40 近年、ヘルスケアシステムの変化により、これまで病院専門…

全体最適化された世界の構想【デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂】

リン・マーギュリスによる細胞内共生説は、真核生物細胞の起源を説明する仮説として、その提唱以来、広く受け入れられている。この仮説によれば、ミトコンドリアや葉緑体は、細胞内共生した他の細胞に由来するものである。とはいえ、ミトコンドリアと人との…

あらゆる医療(言説)にはトンデモ性が含まれている

先日、『あらゆる医療言説(あるいはそれに基づいた臨床判断、すなわち医療介入)にはトンデモ性が含まれている』と発言したら、批判的な意見も含め、様々なリアクションがあったので、ここで僕の考えを少し整理しておきたいと思います。なお、『医療にはト…

【書籍】ムシできない?衛生害虫-『薬局』2018年7号

南山堂さんの月刊誌『薬局』7月号が発刊されています。 薬局 2018年 7月号 特集 「衛生害虫対策 ―医療従事者が押さえておきたい基礎と実践―」 [雑誌] 今月号の特集はなんと「衛生害虫」。巻頭グラビア付と、かなり気合も入っています。 衛生害虫とは、人に衛…

作品として文章を書くこと。

僕はこれまで、いろいろな文章を書いてきました。書籍やウェブ上のコラム連載、学術論文等、その多くが薬の専門家として、専門的な内容が多かったように思います。したがって、僕の文章に対する価値(もしあるとすればですけど)や評価基準は、文章表現や文…

【書籍】Rp+レシピプラス2018年夏号(Vol.17 No.3)

南山堂さんのレスピプラス、夏号は褥瘡特集です!褥瘡の基本的な知識から、臨床における具体的な対応、外用剤の使い分けまで、体系的にまとめられた貴重な1冊となっております。 レシピプラス Vol.17 No.3 褥瘡管理と外用療法: 基礎固め 薬剤師のジャーナル…

高齢者に対するベンゾジアゼピン系薬剤【20分レクチャー】

高齢者に対するベンゾジアゼピン系薬剤というと、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。こういうタイトルをつけていてなんですけど、一般にあまり良い印象を持たれる方は多くないように思います。どちらかと言えば「不適切」、そんなイメージでしょ…

倫理学を学ぶ-動物からの倫理学入門-

Overuseに代表されるような過剰医療という概念は、不必要な医療、あるいは無駄な医療という認識をより強固なものにしていきます。ポリファーマシーをめぐる問題など、近年こうした過剰医療に対する風当たりは強く[1]、実際、Choosing Wisely キャンペーン[2]…